2015年12月8日より2016年11月20日まで、特別聖年祭「いつくしみの特別聖年」が開催されています。
この期間は、バチカンでは巡礼する信者に免償を与えるしるしとして、サン・ピエトロ大聖堂の「聖年の扉」が開かれます。
扉が開かれるのは数十年に一度という滅多にないチャンス、早朝のサン・ピエトロを訪問してみました。
♦ 聖年について ♦
「聖年(Giubileo)」は、50年に1度「聖なる」年を祝うユダヤ人の古い習慣に由来。
カトリック教会では、ローマ教皇ボニファティウス8世が西暦1300年を聖年と定めたのが始まり。
当初は100年ごとと定められたが、その後50年おき、25年おきと開催の機会が増加。
期間中には、世界中から大勢の信者がバチカンを巡礼する。
♦ いつくしみの特別聖年祭 ♦
教皇フランシスコにより、2015年12月より特別聖年祭の開催が布告される。
「いつくしみ深く 御父のように」というモットーは、聖書の一節。
御父に倣い、人を裁かず、罪に定めず、むしろゆるし、愛とゆるしを限りなく与える、そうしたいつくしみを生きるように、というメッセージを持つ。
入場チケットは、広場正面の大通りにある巡礼インフォメーションセンター(Via Conciliazione 7)にて、無料で入手できます。
広場前にいる黄色いジャンパーのボランティアスタッフにチケットを見せて、早速入場。
朝早かったせいか、行列などは全くありませんでした。
特別通路を通って、「聖年の扉」は正面に5つある扉のうち一番右です。
この青銅の扉は意外に歴史が新しく、制作されたのは1949年。
別名「大いなる赦しの扉」とも呼ばれ、各パネルには人間の罪と贖いに関する聖書の物語の場面が描かれています。
アダムとイブに始まり、キリスト死後の聖パオロの物語まで、1つ1つ興味深く眺めることが出来ます。
パネルの間には歴代の聖年祭を迎えた教皇の紋章が刻まれており、最新は2000年のヨハネ・パオロ2世のものです。(一番左)
扉の内側の上部には、天国の鍵を持つ聖ペトロの像が。
ちなみに、この「 聖年の扉」、聖年祭以外の通常時は下の写真のようにセメントで塗り込まれています。
扉をくぐると、聖堂内の右側廊に入ります。
すぐ右側には、有名なミケランジェロのピエタ像があります。
ピエタは私がローマで一番好きな彫刻作品ですが、 セキュリティーのためか、見学者と像の間の距離がどんどん遠くなってくるように思えて残念です。
ピエタ像 |
中央身廊 |
教皇祭壇。天蓋はベルニーニ作。 |
聖ペトロ像は6世紀の作品。巡礼者は像の前で祈った後に右足に接吻する。 |
聖堂内には、歴代教皇や聖人の墓碑などが無数にあり、1つ1つの歴史を振り返りながら見学していると気が遠くなりそうです。
次回の訪問に更なる楽しみはとっておいて、1時間ほどの見学で退出しました。
併設の売店にて、記念ペンダント(2ユーロ)を購入。
「聖年の扉」の右下の最後のイラストが刻まれています。
又、イタリア郵便局では記念切手も販売されています。
ところで、チケットやグッズに印刷されている、この風変りなロゴ、気になって調べてみました。
イエズス会司祭でイコン作家でもあるMarko Ivan Rupnikによって、今回の聖年祭のためにデザインされたロゴです。
「Misericordiosi Come il Padre」
「いつくしみ深く 御父のように」(ルカ6・36による)
良き羊飼いが、迷い出た人間を連れ帰るために、両肩でしっかりと担いでいる姿が描かれています。
よく見ると、それぞれの目と目が繋がっており、そこに強いメッセージが秘められているようです。
バチカンでは3月にイースター、そして9月にはマザー・テレサの列聖式など、世界が注目する大イベントが予定されています。
ローマ市民の1人として、全てのこれら素晴らしいイベントが滞りなく開催され、11月20日には無事に聖年祭の幕を閉じることを祈るばかりです。