2012年11月24日土曜日

MAXXI (ローマのZaha Hadid 建築)

東京の新国立競技場の建て替え計画デザインコンペで見事に採用が決定した、イラク出身の女性建築家ザハ・ハディド。
彼女の代表作品の1つが、ここローマにも存在します。

場所はローマ中心北部。
Foro Italico(かつてムッソリーニが建設した近代スポーツエリア)、そして以前に当ブログで紹介したParco della Musica にほど近い緑の多い文化エリアに位置します。

2010年5月にオープンした、「MAXXI」というこの美術館の名前、何かの記号のような不思議な印象を受けます。

M = Museum
A = Art
XII = 21st Century

つまり「21世紀美術館」という意味になります。

古代遺跡やルネサンス芸術で名高いローマとしては珍しく、現代の作品を展示する美術館とのこと、今後の展開が期待されます。


MAXXIへは、地下鉄A線フラミニオ駅からトラム2番線の利用が便利です。
乗車してから7分くらい、右にラグビー場が見えてきたあたりで下車します。

話は横道に反れますが、美術館の手前に、思わず目をみはるほどに美しい教会が建っていました。


 外観を見る限り、「真実の口」のあるサンタ・マリア・コスメディアン教会とよく似た造りで、ロマネスク様式の見事な鐘楼、そして外壁上部のモザイク画が輝いています。
残念ながら一般には公開されていないようで、門が固く閉ざされ、教会の名前すら識別することができませんでした。

さて、今日の本命であるMAXXIは、その教会のすぐトナリです。




巨大建築だけに、実物を前にすると、全体像を把握するのがなかなか難しいです。
大胆な空間構成に大きなパワーのようなものを感じます。

エントランス
建物入口には、建築パワーに負けないほどの個性的なルーフが取り付けられていました。
素材は麦藁。
おそらく展覧会に合わせた期間限定だと思われます。

インフォメーション
ホール階段
チケット売り場
 建物の外観、そして内部にも独特のリズム、そして非凡なバランス感覚が発揮されています。
無機質なコンクリート仕上げにモノトーンカラーで全てが統一された中に吊り下がる一見何の機能性もない赤いパイプがアクセントとなって空間を引き締めます。
従来の博物館の典型である、箱型の展示室が連なる室内配置とは、発想の原点からして全く違うようです。
これだけの複雑の空間構成をバランス良くまとめ上げるZaha Hadid は、やはり天才だと思います。

オープン時のインタビューで彼女は「このプロジェクトはまだ未完成である。」というような事を言っていましたが、 この室内の巨大な吹き抜けや変化に富んだ壁面を利用して、どのように作品を展示していくのか、アーティストにとっても自分の作品を活かす最高の舞台装置としてこの空間を最大限に活用する手腕を試される、手ゴワイ美術館ではないでしょうか。


 再び建物の外に出ると、中庭に無造作に置かれた椅子に座って、何をするともなしに建物をぼんやりと見つめて寛ぐ、おそらく地元民(?)と思われる人達がけっこういることに気づきました。
一見、超難解なアート建築かと思いきや、近隣の人々の憩いの場として町に溶け込んでいる様子はなんとも微笑ましいです。


新国立競技場計画案
 上の写真が、建設が決定した新国立競技場のデザインです。
完成は2019年とのこと、東京都が招致を目指す2020年オリンピックのメイン会場の予定されています。

実現するのが大変困難と言われているザハ・ハディド建築。
日本の素晴らしいテクノロジー力を発揮して見事に完成させ、世界に誇るランドマークとなる日が楽しみです。


MAXXI
所在地: Via Guido Reni 4, Roma
開館時間: Tue-Sun 11:00-19:00, Sat 11:00-22:00
入場料: 11euro